働きながら年金を受け取っている方にとって重要な制度である「在職老齢年金」。この制度では、一定以上の収入があると年金の一部が支給停止となりますが、その基準額が2024年4月から引き上げられました。この記事では、改定の詳細や影響についてわかりやすくご紹介します。
在職老齢年金とは?
在職老齢年金とは、65歳以上で働きながら老齢厚生年金を受け取る場合、一定額以上の収入があると年金の一部または全額が停止される制度です。この制度の目的は、現役世代の年金財源を維持しながら、高齢者の働く意欲を尊重することです。
具体的には、以下の金額が基準となります:
• 年金の「基本月額」(年金受給額の月額換算)
• 総報酬月額相当額(給与+賞与の月額換算)
これらの合計が一定額(支給停止調整額)を超えると、その超過分の一部が年金から減額されます。
支給停止調整額が50万円に引き上げられたのはいつから?
2024年4月から、在職老齢年金の支給停止調整額が48万円から50万円に引き上げられました。この変更は、2024年度の年金額が物価上昇率などを反映して前年度比2.7%引き上げられたことに伴うものです。
今回の変更の影響は?
支給停止調整額が50万円に引き上げられたことで、働きながら年金を受け取る方が支給停止される額が減少するケースが増えます。以下に具体例を挙げてみます。
変更前(2023年度)
• 支給停止調整額:48万円
• 基本月額:10万円(年金受給額)
• 総報酬月額相当額:46万円(給与+賞与)
この場合、支給停止額は以下の計算になります:
• (10万円+46万円-48万円)÷2 = 4万円(支給停止額)
変更後(2024年度)
• 支給停止調整額:50万円
同じ条件で計算すると:
• (10万円+46万円-50万円)÷2 = 3万円(支給停止額)
このように、支給停止額が1万円減り、受け取れる年金額が増えることになります。
支給停止調整額引き上げの背景
この引き上げの背景には、以下のポイントがあります:
1. 物価上昇に伴う年金額の引き上げ
2024年度の年金支給額は、物価や賃金の上昇を受けて2.7%増加しました。この増加に合わせて、支給停止調整額も改定されました。
2. 高齢者の就業支援
高齢者の働き方が多様化する中、年金の支給停止額を緩和することで、就業意欲を高める狙いがあります。
在職老齢年金を受け取る際の注意点
1. 収入の確認
総報酬月額相当額には、基本給だけでなく賞与も含まれます。年金と合わせた収入を正確に把握することが大切です。
2. 年金の手続き
収入が大きく変動した場合、速やかに日本年金機構へ報告しましょう。不適切な手続きを放置すると、年金の過払いが発生し、返還が求められることがあります。
3. 65歳未満の場合の注意
なお、65歳未満の在職老齢年金は、支給停止調整額が28万円と別の基準が適用されています。
2024年4月から、在職老齢年金の支給停止調整額が50万円に引き上げられたことで、働きながら受け取れる年金額が増えるケースが出てきました。高齢者の就業環境が多様化する中、この改定は多くの方にとってメリットとなるでしょう。
自分の年金額や収入を確認し、適切に手続きを行うことで、より安心して働き続けることができます。制度を正しく理解し、有効活用してください!